2008年04月
2008年04月30日
08年度はIT投資が減速・大転換期に来た情報サービス業界
2008年度の情報システム投資はかなり減速しそうである。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の「企業IT動向調査」によると、情報システム投資額のDI値(前年度より「増加」するとした企業比率から「減少」するとした比率を差し引いた値)は、07年度まで3年連続の増加傾向を示しIT投資が好調であったことを証明しているが、08年度の予測DI値は07年度の38から15に減少するという。
これに原油高騰、為替変動、サブプライムローン問題などの諸事情を考慮すると、DI値はマイナスになる可能性もあるだろう。好況にわき、人手不足を嘆いてきた情報サービス業界にも転機が訪れる可能性が高い。
JUASの調査は過去13年間継続して実施されているもので、今回の2007年度版が第14回目にあたる。企業のIT部門、社内IT利用部門を対象に、アンケート調査とインタビュー調査を行い、企業におけるIT投資、IT利用の現状と経年変化がわかる。利用者側からの調査として貴重なものであり、我々のようなシステムを提供する業界にとって参考になるデータだ。
また年度ごとに重点テーマを設定し分析を行っている。07年度の重点テーマは「ビジネスイノベーションへの挑戦」「ハードウェア・ソフトウェアのライフサイクル、アップグレードに関する諸問題」の2つだった。
■07年度のIT投資拡大は中小企業に広がらず
調査結果を詳細に見ていこう。今回の調査に回答した459社におけるIT投資は、06年度から07年度にかけて増加したが、07年度から08年度にかけては減少に転じることがわかった。07年度は前年からIT投資額(保守運用費と新規投資の合計)を増加させた企業が61%に達した。DI値は06年度の26から07年度は38となり、3年連続の増加傾向を示しIT投資が好調であったことを裏付けた。
ところが08年度の予測DI値は15に減少する。この調査は昨年11月時点のもので、原油高騰やサブプライムローン問題がその後さらに深刻化したことを考えると、予測DI値はいっそう低下する可能性がある。
もちろん情報システムは企業活動のインフラとなり不可欠だ。従って、システム化のニーズは途絶えることなく投資はするが、金額はできるだけ効率的に使うという傾向が強まる。ただし、金融業、特に証券関係ではサブプライムローン問題の影響で足元の業績悪化が激しい。09年度の株券電子化へ向けてのシステム投資をはじめ様々なシステム化要請はあるものの、コストカットのために仕事そのものを削ることさえあり得る。
このような予算削減、効率的投資への転換という事態へ対処するために、情報サービス業界は生産性を飛躍的に向上させる仕事のやり方が重要になる。
ユーザーの企業規模別にみると、07年度は従業員1000人以上の大企業が中小企業に比べてIT投資を増加させた。一般に喧伝されているほど中小企業のシステム投資は増大しておらず、むしろ大企業との差が開く結果となっている。政府をはじめ各方面で中小企業のIT化を促進すべきという声は多々あるが、なかなか進展しない理由を、中小企業側の問題を含めて改めて問い直すべきなのだろう。
既存システムの保守運用費用と新規投資の関係をみると、調査の開始以来初めて新規投資の比率が全体の40%を超えた。予算執行率でみると、保守運営費がほぼ予算通り消化されているのに対し、新規投資は10%以上予算を残していることがわかった。また、トラブルプロジェクト発生の影響か、予算超過の割合も多い。新規投資は保守・運用より大変だ。新規にやりたいことは多いが、やり遂げられるだけの体力がIT部門にも、業者側にもないのだろう。
■情報子会社を取り巻く厳しい環境
07年度版で重点調査した「ビジネスイノベーションへの挑戦」では、興味深い結果が出ている。
「ビジネスイノベーションへの挑戦(ビジネスモデルの変革とビジネスプロセスの変革)」において、IT部門がビジネスモデルの変革に主体的に関与していると答えたのは20%。ビジネスプロセスの変革でも28%にとどまり、大企業の大多数では、IT部門はイノベーション推進機関として期待されていない、もしくは「期待されていること」に応えられていないことがわかる。ビジネスプロセスの変革にはある程度の寄与を認識されているものの、ビジネスモデル・ビジネスプロセスの変革の双方とも、主体は業務部門であることが明らかとなった。
情報システムの戦略立案、企画、設計についても、本社の経営情報部門が統括する「集約型」が増加している。これまでは、経営情報部門とIT部門とが一体となって企画を立て、情報子会社を保有している場合には、基本的にはその情報子会社をプライム(元請け)とするプロジェクト体制を組む、というのが通常であった。この図式が崩れかけているように思う。
大手企業のほぼ半数が情報子会社を保有しているが「経営権を持たない情報子会社」が05年度で2%、06年度で5%、07年度で10%と増加している。親会社が経営権を持たない子会社というのも変な表現だが、設立時は100%ないしはグループ会社などでの共同出資会社でスタートしたが、時とともに他社に株式の過半数以上を譲渡した形態と考えられる。
この種の会社が多数別会社化されたのは約30年前の1980年代であろう。当時、情報システム構築は専門業務として扱われ、社内に専門性のある人材を置くより、社外に出してより専門性を高め、あわよくば他社からの仕事を取ることで、親会社のコスト負担を軽減することを期待されていた。労働問題、組合問題も子会社化のブームを後押しした。しかしながら、一企業のニーズに対処している限り、技術的専門性が高まることは期待できず、また技術の進化は彼らの研さん速度を上回ったのであった。
調査では、今後の方向性として情報子会社に「自立を促す」とする回答が半減した。ということは、改めて親会社に取り込むか、他社へ売却するということであろう。情報子会社は、親会社からみて提案力と主体性に不満があるのだ。今やハード、ソフトのコモディティー化、多様な労働環境の整備、大半の一般業務の情報システム化が一段落したこと、より戦略的で専門的システムの整備競争というような傾向のなかで、情報サービス業界内の企業として他社に伍して発展できるもの以外は改めて企業内へ取り込む動きが出てきても不思議ではない。
我々、情報サービス業界も上記のような結果を見ると、大きな変化への取り組み速度が遅いのではないかと思われる。真のユーザーニーズを理解していないのではないのか、我々業界のやっていることが利用者の経営に本当に役立っているのか等々疑問がわいてくる。
情報システム化が本格化して40年以上経過した。情報サービス業界も、企業の情報システム部門も、そして情報子会社も、改めて転換点をきちんと認識すべき時に至っていると思わざるを得ない。それによって、利用者と提供者の役割分担、ビジネスモデルも大きく変わらざるを得ない。
情報サービス業界は振り返ってマクロで見ると、常に総需要が総供給を上回ってきた。それゆえに真の市場の洗礼を受けずにすんできた。今回のユーザー動向の変化を、過去の循環的な景気変動の一環と捉えるか、今回は違う傾向と捉えるか? 私は大きな転換点に来ていると思う。
(2008.4.30/日本経済新聞)
3月の新設住宅着工、9カ月連続減少・景気低迷が押し下げ
国土交通省が30日発表した3月の新設住宅着工戸数は前年同月比15.6%減の8万3991戸と9カ月連続で減少した。下げ幅は2月(5.0%減)から拡大した。建築確認を厳しくした改正建築基準法施行の影響はほぼ一巡したが、景気低迷による分譲マンション販売減少などが着工戸数を押し下げた。年度ベースでも2007年度は前年度比19.4%減の103万5598戸となり、1966年度以来、41年ぶりの低水準になった。
3月の利用目的別では分譲マンションが前年同月比22.2%減と大きく落ち込んだ。首都圏などでの販売低迷でマンション会社が新規着工を見送っているのが主因。分譲の戸建住宅も9.3%減。賃貸住宅の「貸家」も22.0%減と大幅に減少した。
地域別では、首都圏が11.7%減、中部圏が11.6%減、近畿圏が24.5%減、その他の地域も16.3%減と軒並み減少した(2008.4.30/日本経済新聞)
3月の利用目的別では分譲マンションが前年同月比22.2%減と大きく落ち込んだ。首都圏などでの販売低迷でマンション会社が新規着工を見送っているのが主因。分譲の戸建住宅も9.3%減。賃貸住宅の「貸家」も22.0%減と大幅に減少した。
地域別では、首都圏が11.7%減、中部圏が11.6%減、近畿圏が24.5%減、その他の地域も16.3%減と軒並み減少した(2008.4.30/日本経済新聞)
給油所支援に限界も=値上げ抑制競争を懸念−経産省
1日の揮発油(ガソリン)税の暫定税率復活に伴い、経済産業省はガソリンの値上げ抑制競争の激化を懸念している。消耗戦が続けば、全体の5〜7割が赤字とされるスタンド業界で倒産が相次ぐ恐れがあるからだ。スタンドの借入金に対する利子補給などの金融支援策を拡充して混乱回避を目指すが、効果の限界もささやかれる。
全国4万4000店のスタンドの多くが、失効直後から1リットル=25円の暫定税率を課された在庫を抱えたまま、赤字覚悟で値下げに踏み切った。損失額は1店当たり80万円程度に膨らんだが、経産省は「復活後の影響の方が大きくなる可能性がある」(幹部)と警戒する。 (2008.4.30/時事通信)
<フィルタリングサービス>出会い系サイト、中高生被害続発
警察庁によると、出会い系サイトに関係して警察が昨年、容疑者を逮捕、書類送検するなどした事件は1753件で、前年に比べ162件(8.5%)減少した。しかし、18歳未満の被害者は1100人と前年(1153人)並みで、96.5%は携帯電話で出会い系サイトにアクセスしていた。848人は小中高生で、小学生女児も2人含まれていた。
事件の内訳は、児童買春・児童ポルノ規制法違反が760件(43.4%)で最多。強姦(ごうかん)43件、強制わいせつ15件、強盗21件などもあった。03〜06年に計11件も殺人事件が起きている。
警察庁は「性犯罪などは被害を申告しにくいこともあり、被害の実態はもっと深刻なはず」と分析する。取り締まり強化に加え、フィルタリングの普及を呼びかけ、被害防止を図っていく方針だ。
保護者や教師たちはどうみているのか。
有害情報から子どもを守る活動に取り組む「ぐんま子どもセーフネット活動委員会」のメンバーで、前橋市に住む3児の母、小川真佐子さんは「フィルタリングをかければ安全というわけではない」と指摘する。現在提供されているフィルタリングでも、学校裏サイトなどにたどりつけるものがあるという。小川さんは「健全と認定されたサイトでも、子どもが加害者や被害者にならない保証はない」と危ぶむ。
子どもの情報モラル教育に詳しい千葉県柏市立田中小の西田光昭教諭は、フィルタリングについて「本来は親もかかわったうえで、見てもよいサイトを個々に決められるシステムにすべきだ。まだ改善の余地がある」と指摘する。
携帯電話は08年3月末現在、1億272万台が普及、このうち18歳未満は約750万台と推計されている(2008.4.30/毎日新聞)
大規模個人情報漏えい企業ワースト10リスト(サイボウズMT)
サイボウズ・メディアアンドテクノロジー株式会社は4月30日、同社が3月末に発売した「個人情報漏えい年鑑2008」を一部抜粋した「個人情報漏えい年鑑2008ダイジェスト版」の配布を開始した。
「個人情報漏えい年鑑2008」は、個人情報保護法施行以降の2005年から2007年までの3箇年間に発生した主な個人情報漏えい事故の、発生年月日や漏えい原因、漏えい規模、漏えい元の企業名・組織名を収録する。
今回公開されるダイジェスト版には、2005年1月の漏えいデータ他、2005年から2007年までの期間に発生した漏えい事故の漏えい人数別上位10件の企業リスト他を掲載する。
http://ns-research.jp/press/11442.html
(2008.4.30/Scan)
<日銀>金利据え置き 政策決定会合
日銀は30日、金融政策決定会合を開き、政策金利である短期金利(無担保コール翌日物)の誘導目標を現行の年0.5%に据え置くことを決めた。金利据え置きは、07年2月に追加利上げして以来、17回連続。
米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題や原材料価格の高騰などで景気減速感が強まっており、日銀は景気の先行きを慎重に見極める必要があると判断した。
また、日銀は「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)も決定会合で取りまとめ、午後に公表する。08年度の実質成長率予測は、昨年10月の前回リポート(2.1%)から1%台半ばに下方修正する見通し。
白川方明総裁の就任後、初の決定会合で、白川総裁は午後に会見し、今後の金融政策の方針を説明する
(2008.4.30/毎日新聞)
“潮目”が変化 中国経済スローダウン
中国経済が減速し始めた。今年第1四半期(1〜3月)の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比10・6%と、昨年の年間成長率(11・9%)を1・3ポイント下回った。貿易黒字の減少が主因だが、この傾向は今後さらに強まるとの見方が多い。株価が半年で半値に暴落して政府がてこ入れに乗り出す一方、物価上昇には歯止めがかからない。5年連続の2ケタ成長で爆走してきた中国経済の“潮目”が変わりつつある。
中国国家統計局によると、1〜3月期の固定資産投資(企業の設備・不動産投資や公共事業)は約2兆1845億元(1元は約15円)と前年同期比25%も増え、引き続き“膨張”を続けている。消費も消費財小売り総額が2兆5555億元と同21%も増えた。しかし貿易黒字が414億米ドルと前年同期を49億ドル下回り、成長率を押し下げた。
■サブプラ影響?
中国当局の説明では「国内経済は堅調だが、米サブプライム(高金利型)住宅ローン問題の深刻化で輸出の伸びが鈍り、成長が減速した」ということになる。
果たしてそうかには、大いに疑問がある。実は国内経済にもあまたの問題が表面化しているからだ。第一にインフレの高進である。
消費財小売り総額が2割も伸びたのは、物価急騰のためだ。1〜3月の消費者物価上昇率(CPI)は前年同期比8%上がった。特に必需品である食品価格は21%も上がった。
■工業製品に波及
世界的な穀物価格の高騰や中国の食肉需要の急拡大で、食物インフレに歯止めがかからない。政府にとってさらに頭が痛いのは、食品など一部消費財から始まった価格上昇が工業製品全般に波及し始めた点だ。
昨年前半は2〜3%台で落ち着いていた工業品の工場出荷価格(PPI、卸売物価に相当)までが6・9%(3月単月では8%)も上昇した。これも世界的なエネルギー、鉱物資源価格急騰の影響が大きいが、中国はその多くを輸入に依存している。
しかも長い間、これらを低価格で統制してきたため省エネが遅れ、消費効率が極めて悪い。原材料価格高騰のコストを消費者に転嫁するか企業がかぶるかは、需給関係で決まる。
消費者が負担すれば消費に響くし、企業が負担すれば収益悪化につながる。どちらが負担するにせよ大きな景気後退要因だ。
■不動産値崩れも
固定資産投資の膨張が続いていることも要注意だ。不動産バブルは昨秋、曲がり角を迎え、年初から北京、上海、広州などで値崩れが始まっている。土地競売で買い手がつかないケースが各地で続出している。
企業の投資も省エネ効率化や研究開発に向かっていれば結構だが、従来型の単なる増産投資なら危険だ。世界景気が後退色を強めつつあるだけに、直ちに生産過剰につながるからだ。公共事業についても日本の“二の舞”になりかねない。
中国の株式バブルは崩壊したといえよう。上海総合指数は昨年10月に6124(瞬間値)の最高値を付けたが、今月22日には一時3000を割り込んだ。株式投資に失敗し自殺する素人投資家が増えている。
社会不安を懸念した政府は24日、株式売買時の印紙税率を0・3%から0・1%に下げるなどの株価てこ入れ策を講じた。相場は3500台まで戻したが、翌日には反落している。
企業収益は今年に入り急速に落ち込み始めているだけに、政府の買い支えがなければ、再び3000台割れの可能性が大きい。
■アングラマネー
中国経済を取り巻く環境がきな臭くなるなかで、海外からのアングラマネーの流入が激増している。広東省社会科学院の推計によると、1〜3月期に850億ドルもの巨額資金が流入したという。多くは中国系マネーで、ケイマンなどのカリブ海諸島や香港経由で流入、人民元の切り上げ差益獲得や、中国株暴落後の底値買いなどを狙っているようだ。
政府がインフレ抑制のために利上げや元切り上げを進めればこうした投機マネーの急増に拍車をかけ、過剰流動性がさらなるインフレを招きかねない。中国政府を苦しめているのは、愛国心の豊かなはずの中国人でもある。
(2008.4.30/フジサンケイ ビジネスアイ)
iPhone 2は全身ピアノブラックで、ちょいデブ?
Engadgetライアン編集長が第2世代iPhoneを目にした選ばれし者から、こちらがまだ把握してない新情報を仕入れてくれました。
3G対応で本物のGPS搭載…という予想はそのままですけど、なんかメタルの背面がグロッシーなブラック(プラノブラック)になるみたいですねー。クロームのボタン付きで、シグナルの問題も解消…。
ちょいデブなのは、きっとGPSとバッテリー(次世代も取り外れない)の影響かな? スクリーンサイズと解像度は現行のままです(プラスチックに移行しようとしてるという噂は違うみたいですね)。出荷は7月とか。
(2008.4.29/GIZMODO)
マイクロソフト、「Vista SP1」の自動配布を停止--「XP SP3」に続いて
Microsoftは米国時間4月29日、新たに発見された問題を理由に、「Windows Vista Service Pack 1(SP1)」の自動アップデートを停止したことを認めた。
この問題は、「Windows XP Service Pack 3」の提供も延期させており、両OS上での「Microsoft Dynamics Retail Management System(RMS)」の稼働に影響を与える。
Microsoftは、「Windows Vista SP1の自動配布を一時的に停止している」とCNET News.comの取材に対して述べた。同社は、手動によるVista SP1のダウンロードは今後も利用可能にする予定だと付け加えた。MicrosoftはAutomatic Updates経由での同サービスパックのリリースを先週開始している。
Microsoftでは、「Microsoft Dynamics RMSを利用している顧客にSP1をインストールしないよう呼びかけているが、Windows Vista SP1のインストールにより利益を得ることができる顧客が多くいる。そのため、(Windows Update経由での)提供を継続している」と述べている。「Windows XP SP3のリリースを延期したが、予防措置として、また、顧客がWindowsで素晴らしい体験を得られるよう、Vista SP1の自動配布を停止した」(Microsoft)
Microsoftは、今回の問題について、「互換性問題」と述べるにとどめている。
(2008.4.30/CNET Japan)
<フィルタリングサービス>青少年の安全か利便か
携帯電話の出会い系サイトなど有害情報にアクセスした小中高生らが犯罪に巻き込まれるケースが続発している。携帯電話会社は18歳未満の青少年が有害サイトに接続できない「フィルタリング(閲覧制限)サービス」を導入しているが、政府・自民党にはさらなる強化を求める声が多い。子供たちが使いやすく、安全なケータイをどう開発すべきか、議論が続いている。
◇3回目の要請
増田寛也総務相は25日、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、ウィルコムの携帯電話・PHS4社の社長を呼び、サービスの改善と導入促進を要請した。要請は06年11月以降、3回目だった。
自民党は青少年特別委員会(委員長・高市早苗前少子化担当相)や総務部会などが規制強化に向けた法案作成に取り組む。
携帯電話会社に、青少年を対象にフィルタリングサービス提供を原則として義務付けるほか、年齢ごとにきめ細かくフィルタリングの対象を定めるよう求めている。有害情報の認定は、特別委が国(内閣府)としているのに対し、総務部会は「表現の自由との兼ね合い」に配慮し、第三者機関とした。今後、党内で調整を進め、公明党を加えた与党案として提出する方針だ。
◇民主も独自案
民主党も検討を急ぐ。とりまとめ作業中の「有害サイト対策法案」は、「表現の自由」とのバランスを取るため、サイトそのものは規制せず、子どもが有害サイトに触れる機会を減らすことを目指している。
ただし、政界と業界の足並みがそろっているわけではない。行き過ぎた規制を警戒する4社は、今年1月以降、18歳未満の未成年者が新たに契約する場合、親が「不要」と申し出ない限り、原則として携帯電話にフィルタリングを適用した。すでに契約した利用者についても、今夏以後、順次、連絡を取り導入を促す。
総務相の要請を受けた25日には、サイトの健全性を審査・認定する第三者機関「インターネット・コンテンツ審査監視機構」を設立、有害サイトを自主的に駆逐していく姿勢を鮮明にした。
フィルタリングを適用すると、若者に人気があるブログや掲示板への接続が不可能となるため、利用者から「接続が限定されており、使いづらい」との不満が相次ぐ。規制を強化すれば、現在以上に人気サイトが見られなくなる可能性が高い。
◇経営に影響も
NTTドコモの場合、07年度の携帯電話の平均使用料は、通話料金引き下げを背景に前年度比5.1%減と減少した。一方、ネット接続などのデータ通信料は同9.5%増と上昇傾向にある。ネット接続が増えれば、バナー広告収入増も見込めるが、規制強化によりアクセスが減れば、経営に大きな影響を与えかねない。
新設した第三者機関は、有識者や業界関係者が有害サイト判定の基準作りを進め、健全サイトを認定する作業に当たる。審査を通ったサイトを、閲覧制限から外すよう携帯各社に働きかける仕組みを作ることで、利便性向上と収益確保を狙う。
設立会見で、堀部政男・一橋大名誉教授は「(健全かどうかの審査は、政府・与党が計画している)公的関与ではなく、民間の創意工夫で自主的に対処すべきだ」と強調。世話人で、ゲームソフトメーカー「コーエー」の襟川恵子・ファウンダー取締役名誉会長は「今の閲覧制限は、利用者である中高生の立場を考えておらず、あまりにも不便。もう少し現実を踏まえた形に緩和すべきだ」と訴えている。【川口雅浩、前川雅俊、堀井恵里子】
◇ことば フィルタリングサービス
携帯電話からインターネット上の有害サイトに接続できないようにするシステム。(1)携帯電話会社が選んだ「公式サイト」に接続を限定する「ホワイトリスト方式」(2)未成年者に有害と思われるサイトを閲覧不可能とする「ブラックリスト方式」−−の2種類がある。前者は安全性は高いが、アクセスできるサイトが大幅に限定される。後者は、携帯電話会社が接続を制限するサイトを独自に選択しており、中立性に欠ける面がある。
(2008.4.30/毎日新聞)


