2008年05月07日
手のひらサイズの“魔法の世界”は、こうして生まれた――ディズニー・モバイルの今とこれから
3月1日、ソフトバンクモバイルとの協業によるウォルト・ディズニー・ジャパンの携帯電話事業「ディズニー・モバイル」がスタートした。ディズニー・モバイルは、7年にわたるコンテンツプロバイダとしてのノウハウや実績を生かし、「毎日を楽しく生きたい、20〜30代の女性」をコアターゲットとしてサービスを展開している。
サービスに対応する端末としては、ソフトバンクモバイルのシャープ製端末「820SH/821SH」をベースとした「DM001SH」が用意され、料金プランや無線ネットワーク、ショップ、アフターサービスなどの基本的なサービスも、ソフトバンクモバイルに準じたものを利用可能。他キャリアにはない、ディズニー・モバイルならではのメリットは以下の6つの点だ。
1. ディズニーのオリジナルデザインを採用した端末
2. ディズニードメイン「@disney.ne.jp」を採用したメールサービス
3. ポータルサイト「Yahoo!ケータイ」をディズニー仕様にカスタマイズした「Disney Web」の提供
4. ディズニー・モバイル限定コンテンツの提供
5. 22のディズニー公式サイトを情報料無料で提供
6. ディズニー関連商品や特典を対象とした「ディズニー・マジックポイント・クラブ」の提供
MVNOという形で携帯電話市場に参入したディズニー・モバイルは、どのようなコンセプトとこだわりのもとに端末やサービスを開発し、どのようなビジョンで今後展開する計画なのか。
●“さり気ないディズニー”を意識した第1号機「DM001SH」
ディズニー・モバイルの記念すべき第1号機「DM001SH」には、ディズニー色を前面に打ち出すのではなく、そのテイストをさり気なく取り入れたデザインが採用されている。
端末のデザインは、数多くの調査やディスカッションを重ねて選ばれた。「当初はミッキーの絵が貼ってあるものも考えましたが、ビジネスシーンやプライベートでさりげなく使えて、飽きが来ないデザインを採用しました。サプライズ感を出したかったので、最初は『こんなのできるの?』というようなデザインもたくさんありました。しかし、量産化を考えると難しかったですね。“さり気ないディズニー”というのは基本路線としてあったので、ビジネスシーンでも使ってもらえるよう気を配りました」(同社)
●すみからすみまでディズニー尽くし――プリセットコンテンツ
ディズニーはコンテンツプロバイダとして公式サイトを7年間運営してきた実績があり、総コンテンツ数は約90、登録会員数は約350万にのぼる。ディズニー・モバイルのユーザーは、ディズニーが提供する22の公式サイトを情報料無料で利用できるほか、ユーザー限定で提供されるオリジナルコンテンツも楽しめる。コンテンツプロバイダという形では実現できなかったサービスや端末を提供できるのも、ディズニー・モバイルの特徴の1つ。20〜30代の女性に絞った、ディズニー・モバイルだけのコンテンツも数多用意している。
端末の第1号機として登場した「DM001SH」には、多彩なディズニーコンテンツが内蔵され、“ディズニーケータイ”と呼ぶにふさわしい、充実した内容となっている。
DM001SHのメインテーマは、初期状態で設定されている「Secret Garden」だ。これは、ミッキーとミニーが秘密の花園に迷い込んで冒険をするという設定で、2人が白いシルエットで登場するのが特徴だ。
さらに、Secret Gardenの「物語性」を伝えるための約2分間のQVGAサイズのオリジナルムービーも内蔵され、ちょっとしたショートムービーとして楽しめる(着信設定はできない)。ムービーのバックに流れる曲も、この作品のためのオリジナルだ。
着信メロディは、有名なディズニー音楽の中から11曲がプリセットされている。着うたは、映画「アラジン」のテーマ曲として知られる「A Whole New World」や、この3月に公開されたばかりの映画「魔法にかけられて」のテーマ曲「That's How You Know」など、なじみのあるコンテンツを内蔵した。ヒラリー・ダフがディズニー・モバイルのCMで歌っている「ミッキーマウス・マーチ」は、Disney Webからダウンロード可能だ。
内蔵アプリのゲームは、「メテオス」のディズニーバージョン「Disneyメテオス」と、脳トレ系ゲーム「Disney's Brain Pop」を搭載。「20代から30代の女性が遊ぶゲームは落ちゲーのパズルが多いので、隙間時間に楽しんでもらえるゲームを入れました。『Disneyメテオス』は、通常のメテオスよりもかなり簡単にしています」(同社)
メールについては、「@disney.ne.jp」のディズニードメインを用いたアドレスを取得できるのが大きな魅力だ。「20〜30代の女性はメールの利用頻度が高いので、ドメインがディズニーになるのはとても好評です」(同社)。このほか、ディズニー・モバイルのユーザー同士で送受信できる「Disney絵文字」、ディズニー・モバイル以外のキャリアにも送れる「マイ絵文字」、ディズニーキャラクターが登場するテンプレートを内蔵した「デコレメール」を利用できる。
Disney絵文字は、他社ケータイの表示仕様に変換されるが、マイ絵文字は他社ケータイでも表示可能だ。このマイ絵文字は71種類を内蔵するほか、Disney Webに毎月20個の新たな絵文字が追加され、無料でダウンロードできる。
また、バッテリーアイコンやアンテナアイコンをはじめとする各種アイコンもディズニー用にカスタマイズされ、その数は約760にものぼる。サブディスプレイの点灯時にはミッキーのシルエットが現れ、着信やメール受信時にもサブディスプレイにミッキーのアイコンが表示されるなど、すぐには気がつかない細かい部分までディズニーテイストが盛り込まれている。
「UI(ユーザーインタフェース)のテーマからゲームまで、すべてリサーチを行い、上位に挙がってきたものを採用しました。今後は、より深い階層までカスタマイズしていきたいですね」(同社)
●専用コンテンツが満載の「Disney Web」
内蔵コンテンツだけでなく、公式コンテンツにもディズニー・モバイルならではの仕掛けや特典が盛り込まれている。ディズニー・モバイルでは、端末の「Dボタン」(右上ソフトキー)からアクセスできる公式ポータルサイト「Disney Web」を利用できる。このDisney Webのトップページ上部に表示されるFlashの「マイページ」では、3時間ごとに天気情報が更新される。
「ディズニー・モバイル端末の購入時に、自分の住んでいる地域や誕生日を登録すると、登録した地域の天気予報が表示され、自分の誕生日や(季節ごとの)イベント時には、ちょっとしたサプライズもあります。ミッキーやミニーなどのキャラクターのスクリーンデビューの日には、待受として使えるFlashのバースデーカードカードが送られます」(同社)
マイページはデザイン(スキン)の変更にも対応し、変更したスキンは、オンライン料金案内の利用や各種手続きの変更ができるPCサイト「My Disney Mobile」にも反映される。現在のところ、スキンは8種類が用意され、今後も増やしていく予定だ。
My Disney Mobileの「クイックサーチ」を利用すれば、PCからでもモバイルコンテンツを検索でき、気になるコンテンツをマイボックスに入れておけば、ケータイから簡単操作でダウンロードできる。現状はダウンロード時の利便性を高めるための機能だが、「ケータイとPCの連携機能は、今後はさらに拡充することも考えている」(同社)という。
Disney Webには、Yahoo! JAPANとのコラボレーションによりYahoo!検索を利用できる「D★Y!」と、公式コンテンツのメニューリストも用意される。
他社との差別化ポイントとして注目したいのが、ディズニー・モバイルユーザー向けにデコレメールのテンプレートやフォトフレームなどを限定配信する「お楽しみコンテンツ」だ。「20〜30代の女性向けコンテンツなので、シックで大人向けのデザインも多く用意している。アートは描き下ろしで、有名なアーティストも参加しています。和風柄などの新しいスタイルにも注目してほしいですね」(同社)という。
グルメ、トラベル、ビューティ、ビジネスマナーなど、若い女性向けのコンテンツを配信する「トレンドマガジン」も用意され、現在は「OZmall」「mobileOZ」とのタイアップにより情報を配信中。このコーナーも、順次拡大する予定だ。
ディズニー・モバイルのユーザーは、ディズニーが提供する22の公式サイトを追加料金なしで利用できるのも大きな特徴だが、既存の公式サイトにも、ディズニー・モバイル専用のコンテンツが提供される。『ピックアップ』のコーナーでは、girlswalker.com、TSUTAYA online、mu-moなど、他社サイトとのコラボレーションも実現している。これらのサイトにアクセスすると、ディズニー・モバイル専用のブリッジページを挟んで(通常の)トップページに飛ぶことになる。
例えば、エイベックスの「mu-mo」では、エイベックスがピックアップした、ディズニーに縁の深いまたはディズニーファンのアーティストが登場し、「ディズニーへの想い」を語るインタビューが掲載されている。
人気コンテンツは「うた系とデコメ用テンプレートやデコメ絵文字(マイ絵文字)」だという。「メッセージや手書きのフレーズ入りのデコメ用の画像も人気です。絵文字やマイ絵文字は、多くの女性に楽しく使っていただけるでしょう」(同社)
「グラフィック素材は、大人っぽくて、どちらかというとシックなアートが人気です。シンデレラが登場する画像よりは、『ガラスの靴と階段を上っているシンデレラのドレスの裾』など、アートとして使えるものが多いですね」(同社)
●ディズニー・モバイルの今後
サービス開始から2か月が経過しようとしているが、契約数は「当初の目標値を上回る形で推移している。当初の想定どおり20代から30代のターゲット層が大半を占めています」(同社)という。的確なターゲティングと20代から30代の女性の心をつかむ端末やコンテンツ開発が功を奏し、すべり出しは好調だ。
そこで気になるのが、ディズニー・モバイルの今後の戦略だ。引き続き、20代から30代の女性にフォーカスして事業を展開するのだろうか。同社によると、現状ではほかのセグメントに変えることは考えていないとした。
DM001SHのユーザーインタフェース(UI)は「820SH/821SH」がベースとなっているが、ディズニー・モバイルならではのUIに進化する可能性はあるのだろうか。「直感的に使えてディズニーの世界観を盛り込んだUIは、この機種(DM001SH)だと機能的に搭載できませんが、今後は考えていきたいですね。」(同社)
ディズニー・モバイルは、まだ第1歩を踏み出したばかり。端末、コンテンツ、周辺機器など、改良の余地はまだまだ残されており、今後の展開が非常に楽しみだ。
(2008.5.7/+D Mobile)


